この記事で分かること
- 採用戦略を求人掲載から始めない理由
- 採用目的・人数・期限・人物像の決め方
- 求職者から選ばれる理由とメッセージの整理
- ターゲットに合うチャネルと採用KPIの考え方
採用戦略は、目的から数値管理まで順番に決める
採用戦略を「どの媒体を使うか」だけで考えると、何を伝え、誰に来てほしいのかが曖昧なままになります。媒体は出会うための手段です。先に採用後の仕事や役割を決めることで、求人内容と選考で確認することがつながります。
1. 目的
採用で実現したい事業や組織の状態を明確にする。
2. 人数・期限
必要人数と採用する時期を決め、逆算できる目標にする。
3. ターゲット
自社で活躍できる経験・価値観・転職理由を整理する。
4. 採用USP
求職者が自社を選ぶ理由を、具体的な事実から見つける。
5. メッセージ
誰に、何を伝え、なぜ自社なのかを一文にまとめる。
6. チャネル
ターゲットの状態に合わせて接点を選ぶ。
7. 数値管理
応募から入社までの流れを測り、改善箇所を見つける。
7つは別々の作業ではありません。ターゲットを変更したら魅力の伝え方や媒体の選び方も見直し、同じ前提で活動を進めます。
ステップ1〜3:採用目的・人数・人物像を具体化する
まず、欠員補充、事業拡大、新規事業、次世代リーダーの育成、技術承継など、採用が必要な理由を整理します。「一人欲しい」で止めず、採用した人に任せる仕事まで書き出してください。仕事が決まると、必要な経験や教育で補える部分を考えやすくなります。
次に人数と期限を決めます。「営業職を採用したい」だけでは準備の開始時期を逆算できません。いつまでに何人必要なのかを明確にし、採用目標を具体化します。期限は求人掲載日だけでなく、その後の選考や入社に向けた計画と結び付けて考えます。
人物像は、経験やスキルだけでなく、価値観、転職理由、現在の仕事への不満、仕事選びで重視することまで整理します。漠然と優秀な人を探すのではなく、任せたい仕事と組織に合う人を定義することがポイントです。
ステップ4〜5:自社を選ぶ理由を採用メッセージにする
採用USPとは、求職者から見た「この会社を選ぶ理由」です。仕事内容、成長、評価、給与、働き方、人間関係、理念などから、自社の特徴を整理します。抽象的な形容詞を増やすより、事実・制度・エピソードに置き換えるほうが、入社後の姿を伝えられます。
| 整理する領域 | 求職者へ伝える内容 |
|---|---|
| 仕事・成長 | どんな経験を積み、何を身に付けられるか |
| 評価・給与 | 何を評価し、頑張りがどう反映されるか |
| 働き方・人 | 時間や休日の考え方、誰と働くか |
| 理念・ビジョン | 会社が目指す方向と、自分が担う役割 |
整理した内容から、ターゲットに向けたメッセージを作ります。「誰に」「何を約束するか」「なぜ自社か」の三つをつなげ、実際の制度や仕事で説明できる言葉にします。求人原稿、採用サイト、面接の説明が同じ方向を向くように整えましょう。
ステップ6:採用チャネルは求職者との接点から選ぶ
採用チャネルとは、企業と求職者が出会う場所や経路です。今すぐ転職したい人と、まだ転職を決めていない人では、情報との接し方が異なります。ひとつの媒体に認知から応募までのすべてを任せず、役割を分けて考えます。
| 接点 | 主な役割 |
|---|---|
| 求人検索媒体・求人媒体 | 仕事を探し、条件を比較している人との接点 |
| SNS | 会社をまだ知らない人への認知と興味づくり |
| 採用サイト・LP | 仕事内容や魅力を伝え、企業理解を深める |
| 紹介・リファラル | 社員などの関係性を通じて接点をつくる |
| 学校・イベント | 学生と早い段階で出会う |
選ぶ基準は、媒体の知名度や担当者の好みではなく、採用したい人がどこにいて、何を知りたいかです。認知、興味、比較、応募のどの段階を補いたいかまで決めると、各施策の目的を説明しやすくなります。
ステップ7:応募数だけでなく、選考まで測って改善する
KPIは、目標への進み具合を見る指標です。表示回数、クリック数、応募開始、応募完了、面接、内定、入社を分けて見ると、どの工程で止まっているかを把握できます。クリック率はCTRとも呼ばれ、表示に対してどれだけクリックされたかを見る数字です。
表示が少ない状態と、求人を読まれても応募されない状態では、直す場所が異なります。また、応募が集まっても面接や入社に進まなければ、連絡・日程調整・面接での説明を確認する必要があります。選考は能力を見極める場であると同時に、自社を理解してもらう場でもあります。
- 採用の目的と人数・期限を説明できるか。
- ターゲットと自社を選ぶ理由が具体的か。
- ターゲットに合うチャネルを選んでいるか。
- 選考方法と数値を確認する機会が決まっているか。
未決定の項目があれば、求人を増やす前にそこを埋めます。戦略を一度作って終わらせず、採用の数字から分かった課題を次の計画へ戻しましょう。
実務で使う改善の進め方
PDFの7STEPを使って採用戦略を整理し、年間採用計画とロードマップの記事へ進む。
資料に基づく改善例
以下は資料の考え方を業務に当てはめた説明用の例です。特定企業の支援実績や成果ではありません。
営業を採りたいという職種だけの方針で求人を作り始める。
任せたい仕事、必要人数と期限、対象、自社を選ぶ理由、伝える一文を決める。
担当者が同じ採用設計を参照して求人や接点を準備できる。
経営者と担当者の役割
- 経営者が決めること
- 採用の目的、任せる仕事、人数と期限、対象に約束できる価値を定める。
- 担当者が行うこと
- 具体的な魅力を文章へ整理し、対象との接点を選び、応募から入社までの確認指標を用意する。
よくある質問
採用戦略は何から始めればよいですか?
採用する目的から始めます。事業や組織で何を実現したいか、採用した人に何を任せたいかを決め、その後に人数・期限・人物像を整理します。
採用計画と採用戦略はどう関係しますか?
採用計画の人数や期限は、採用戦略の土台です。戦略では、さらに人物像、自社を選ぶ理由、接点、選考、数値管理をつなげて考えます。
採用USPとは何ですか?
求職者にとっての、自社を選ぶ理由です。仕事、成長、評価、働き方などを確認し、抽象的な言葉ではなく具体的な制度や事実で説明します。
どの採用媒体を使うべきですか?
採用したい人と、補いたい接点によって異なります。転職活動中の人への求人、潜在層に知ってもらうSNS、企業理解を深める採用サイトなどの役割を分けて選びます。
関連する実践補足
これまでの解説もあわせて読む
求人を出しても応募が来ない。
媒体を変えても結果が変わらない。
採用費だけが増えていく。
そんな状態になっている場合、求人媒体を見直す前に確認したいのが採用戦略です。
採用戦略とは、単に求人媒体を選ぶことではありません。誰を・なぜ・いつまでに・どのような方法で採用するのかを、事業計画から逆算して設計することが重要です。
この記事では、中小企業が採用戦略を立てる基本的な流れを7つのステップで解説します。さらに、実際に自社の採用戦略を整理できる「採用戦略の立て方 完全ガイド」を無料でダウンロードいただけます。
採用戦略とは?
求人広告を出すこと=採用戦略、ではありません。
採用戦略とは、「会社に必要な人材を、必要な時期までに採用するための全体設計」と考えると分かりやすくなります。
求人広告を出すことやIndeedを利用することは、採用戦略そのものではありません。それらは、決めた戦略を実行するための手段にあたります。
採用活動には、次のような一連の流れがあります。
なぜ中小企業に採用戦略が必要なのか
戦略がないと、採用活動は「急ぎの対応」の繰り返しになります。
採用戦略がない会社では、次のような循環が起こりやすくなります。
この循環から抜け出すために必要なのが、逆算の視点です。
採用戦略があれば、「半年後にどんな人が何人必要なのか」から逆算して、求人の準備・情報の整理・チャネルの選定を前もって進められます。人が辞めてから動き出すのではなく、必要になる時期に採用が完了している状態を目指せます。
採用にかけられる人員も予算も限られている中小企業ほど、準備の時間を味方につけることの効果は大きくなります。
採用戦略がない会社に起こりやすい5つのこと
当てはまるものがないか、自社の採用活動と照らして読んでみてください。
求人媒体選びから始めてしまう
誰を採用するかより先に「Indeedを使おう」など、媒体から採用を考えてしまう状態です。媒体は手段なので、先に決めるべき条件が決まっていないと、掲載しても何を書けばよいか定まりません。
求める人物像が担当者ごとに違う
経営者・人事・現場で、採用したい人が食い違っている状態です。書類選考や面接の判断がぶれ、選考が進むほど社内で意見が割れやすくなります。
自社の魅力を説明できない
「アットホーム」「成長できる」など、抽象的な表現しか出てこない状態です。求職者は他社の求人と並べて比較しているため、具体性のない言葉は判断材料になりません。
応募数だけで採用活動を判断する
表示・クリック・応募・面接など、どの段階で止まっているのかを分けて見ていない状態です。「応募が少ない」だけでは、原稿を直すべきか、条件を見直すべきか、判断できません。
毎回同じ採用課題を繰り返す
数値や改善内容が社内に蓄積されず、採用活動が毎回ゼロから始まる状態です。担当者が変わると、過去の経験がそのまま失われてしまいます。
採用戦略の立て方|7つのステップ
上流から順に決めていくことで、求人原稿もチャネル選びも迷わなくなります。
採用する目的を決める
まず「なぜ採用するのか」を言葉にします。目的が違えば、求める人物像も、採用にかけられる時間も変わります。
採用人数と期限を決める
人数と期限が決まると、逆算していつまでに何を準備すべきかが見えてきます。
営業を採用したい
10月末までに営業職を2名採用する
「いつか」「何人か」のままだと、動き出す時期も、かけるべき予算も決められません。人数と期限を具体化することが、計画の出発点になります。
採用ターゲットを決める
採用したい人を、条件だけでなく「その人が今どんな状況にいるか」まで含めて整理します。
自社の採用上の魅力を整理する
求職者は複数の会社を比較しています。自社を選ぶ理由を、次の7つの切り口で洗い出してみてください。
ここで大切なのは、「アットホーム」「風通しがよい」といった抽象語で終わらせないことです。制度・事実・エピソードまで落とし込むと、求人原稿でも面接でもそのまま使える材料になります。
アットホームな職場です
入社後3か月は先輩が1名専任でつき、週1回30分の振り返りを行っています
採用メッセージをつくる
STEP3で決めたターゲットと、STEP4で整理した魅力を、ひとつのメッセージに束ねます。
この3つが揃ってはじめて、伝えたいことが求職者に届く形になります。ここで整理した設計が、求人・SNS・採用サイト・動画など、あらゆる訴求の土台になります。
採用チャネルを選ぶ
チャネルごとに、出会える相手の状態が異なります。ターゲットが今どこにいるかで選び分けます。
採用KPIを設定する
採用活動は、応募までにいくつもの段階があります。段階ごとに数値を見ておくと、どこを直せばよいかが分かります。
採用戦略を立てる際の3つの注意点
せっかく整理した戦略を、形だけで終わらせないためのポイントです。
求人媒体から考えない
媒体は、決めた戦略を実行するための手段です。「どこに出すか」から入ると、誰に何を伝えるのかが定まらないまま原稿を書くことになります。
経営・人事・現場で認識を揃える
採用する人物像と、入社後に期待する役割を、関係者間で言葉にして統一しておきます。ここがずれていると、選考が進むほど判断が割れやすくなります。
一度作って終わりにしない
採用市場も自社の状況も変わります。STEP7で決めた数値を定期的に確認し、どの段階に課題があるのかを見ながら見直していきます。
あなたの会社の採用戦略を7項目でチェック
YES / NO で答えてみてください。
採用する目的が明確になっている
採用人数と期限が決まっている
採用ターゲットが具体的になっている
自社を選ぶ理由を説明できる
採用メッセージが整理されている
ターゲットに合わせて採用チャネルを選んでいる
採用KPIを定期的に確認している
採用活動を求人媒体から考える前に、採用戦略そのものを一度整理してみませんか?
まとめ|採用戦略は「求人を出す前」に決める
採用戦略で重要なのは、「どの求人媒体を使うか」から始めないことです。
まず、次の順番で整理します。
この順番で決めておくと、求人原稿・チャネル選び・面接の判断が、それぞれバラバラにならずにつながります。
採用活動を場当たり的な求人募集から、継続的に改善できる仕組みへ変えていきましょう。
資料請求フォーム
希望する資料を確認し、必要事項をご入力ください。資料は選び直せます。
課題に合わせて詳しく読む
監修・運営会社
採用支援・SNS採用・人事支援を行う株式会社アイオネストが、自社資料「採用戦略の立て方完全ガイド」をもとに整理しています。
